≪現在≫

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「あーーー。疲れた」 10分後。 車に乗り込んできた羽島さんは、ハンドルにうなだれかかりながら、めいっぱい息を吐く。 「とりあえずメシ食いに行かない?」 「……」 助手席でカバンの持ち手を握り締めたまま答えずにいると、 「そんなに話早くして帰りたい?」 と、ハンドルに乗せた腕から顔を覗かせて聞いてくる羽島さん。 「……そうですね」 と答えると、「ふーん……」と言って、姿勢を変えずにそのまま無言になった。 彼の顔を直視できない私は、ひたすらダッシュボードを見つめる。 「3時間、ちょうだい」 ゆっくりと体を起こした羽島さんがようやく口を開き、シートベルトに手をかける。 「3時間?」 「うん。その後、ちゃんと聞くから、話」 「……」 返事もしないうちに、羽島さんは車のエンジンをかけ、地下駐車場を出た。 よく知らない洋楽が流れだし、車内のこの重い空気をいくぶん軽くする。 「お好み焼き、うまいとこ知ってるんだけど、大丈夫な人?」 「……大丈夫、です、けど」 「じゃあ決まり」 「……」        
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