第一章 相対取引(あいたいとりひき)

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 エレベーターの中でため息をつく。  緊張していた。  インターホンから聞こえたひとみさんの声も、なんだか気になる。  7階でおりて、左右をみて数字の並びを確認していたら、少し奥のドアが開いてひとみさんが顔を出した。  頭を下げて駆け寄る。 「雰囲気違うし驚いた。昼は化粧するの? 」 「やっぱり、変ですか? 友達にしてもらったんですけど……」 「変じゃないよ。もったいないと思っただけ」  私は俯いた。 「僕に気を遣ってくれたんでしょ。普段の律と歩いてたら犯罪臭するもんな」  私は慌てて否定した。
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