bitter

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「俺さ、チョコレート、いらないって言ったよね?」 なんとか仕事も終わり、いつもは決してしない待ち合わせに心を弾ませて。 早々に笑顔で渡したチョコレートをチラリと冷めた目で見下ろすと、彼は一言そう言った。 確かに彼は私に『チョコレートはいらないからね』と言っていた。 確かに聞いてはいたけれど、あなたチョコレート好きだよね? いつも職場のデスクの中にストックしているじゃない。 たまになくなりかけたチョコレートを、誰にも見つからないようにコッソリ補充しているのは私だ。 いつも仕事の合間や家に帰っても食べてるじゃない。 大好きでしょ? 特にキャラメルコーティングされたナッツが入った、甘い甘いチョコレート。 そう言いかけたけど、私はぐっと言葉を飲み込んだ。 「そう・・・だったね。ごめん、忘れてた。」 彼に向けて差し出した、この場の雰囲気に酷く不似合いな、ハートのアクセントがとても可愛らしくてお洒落なラッピングのチョコレート。 震えるほど冷たくなってしまった手に力を込めると、チョコレートの箱は少しへこんでしまった。
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