神様たちの朝

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今日は十六夜(イザヨイ)の日。 満月の翌日。 これは、前作である第一部(シリーズ名と同名=野のワラシ)の翌日の物語だったりする。 前日については前作をお読みいただくとして、さっそく今の彼らの様子をご覧いただきましょう。 「ふにゅっ!美味ちーだの!」 座敷わらしの山野バージョンで地域を守る神様候補生、野のワラシであるノノが今日もやっぱり可愛い。 彼にとって、義理の両親である男弁天カノエ太守と桜神族の太子であるサクヤ姫に並ぶほど、大切な面々を前に満足気。 「ほーら。まだ有るから、たくさん食べてね?」 そう言いながらふんわり微笑む、親友。絵描きの千秋。 生身の人間(アラサー)であるその千秋が買ってきてくれた綺麗な和菓子をノノが嬉しそうにハムッ!と食べている。 真の姿を現せば狩衣姿の物静かで麗しの貴公子になるノノなのだが、まだ神様に昇華していない彼の普段は、やっぱり無邪気な水干姿の童子。 「千秋くん。ごめんね?いっつもお菓子買ってきてもらっちゃって…」 そんなノノの隣で同じく和菓子を摘まみながらそう言ったのは、ノノと色違いでお揃いデザインの水干を装う一平。 こちらは子供の幽霊だ。 詳しくはこれまた前作をご覧いただくとして、神堕ちというものをしてしまった元・野のワラシ。 ただ、神堕ちをするまではカノエ太守やサクヤ姫の神気を授かった経緯が有り、ノノにとっては唯一の兄弟格となる。 和菓子を買ってきた千秋は絵描きであり、サクヤが仲立ちをして夫神のカノエ太守の実家である弁天一族の御利益を加護として与えている。 しかし、生身の人間にはそれは魂の周りを包む殻のようなもので、一平のように魂の内側にまで神気を宿したのとは違う。 だから一平は、神気を宿した幽霊として、特別な存在だ。 更にサクヤに見込まれる程の舞の才能にも恵まれている。 人の魂なので神通力はもう使えないが、彼には知略という才能が有る。 とにかく、知恵が立つのだ。 やんちゃな小悪魔系。 ノノも非常に頼りにしているし、カノエ太守やサクヤ姫も時に知恵を求める一家の軍師だ。 彼の知略は神々に比して、実際に前日…この物語の前作では特筆に値する大活躍を見せたりした。 実年齢からするとノノが長男で一平が次男。仲の良さからしたら千秋も兄弟と考えると千秋が三男となる。 けれど実際の見た目は見事に逆行していて、何ともややこしい。
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