繋がり

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ある日、お葬式であった弁護士が再び家を訪れた。 そして書類を取り出し、父親が違う人だと判明したと言い出した。 はなから、どんな人が父親とされていたのかも知らないが、母はとても驚き、手が震えていた。 弁護士が母の手を握り、DVや法律、接近禁止命令など言っていて、察した。 きっと私は、望まれない子供だったのだろうと。 その翌日、母は初めて寝坊したからお弁当を作れなかったと、お金を持たせた。 忘れていたはずの胸の痛みが蘇った。 まだ自分にもそんな心が残っていたのかとさえ、思う。 学校にはいかず、貰った名刺を便りにあの弁護士の元へ尋ねた。 父親が誰で、どんな訳で私は生まれたのか、継母に育てられたのか、初めてきいた。 本当の父親は、母と結婚前に交際していた人だったが、暴力が酷く別れ、違う人と婚約したらしい。が、私が2才の時に母は大病にかかり入院。その間に父方の両親が私を里子にだし、離婚させたらしい。退院後の母は必死に私を探したが、もう新しい里子として育てられるからと諦めさせられたらしい。 「婚約してるのも関わらず、君の父親はお母さんを襲い、逃げた。最近その人が捕まり、余罪を調べていたら発覚したんだ。」 つまり、あの人は血を分けた子供にも襲われ、2代にもわたって傷つけられたと言うことか。 家までの足取りが重かった。 こんな気持ちになるのは、初めてだ。 午後の授業は出席し、ギリギリまで図書室で粘って、いつもより遅く帰路についた。
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