ディール帝国

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 名前しか知らぬ遠方のサルディニア王国。サリスはこの時点ではまったく考えてもいなかった、今後数年もの間滞在するということを。  城に案内されると、サルディニア国王トリュッケン・サルディニアが迎えてくれた。更には自らサリスに玉座を譲り、その左に立ったのである。  サルディニア王はサリスを次代の皇帝として推戴することを明らかにし、自らはそれを輔佐すると宣言した。つまりはディール帝国宰相ド=ドレスデン侯爵に対する宣戦布告に他ならない。 「妾はサリス・ド=ジャンメール・ディール、ディール帝国の当代皇帝である。簒奪者ドレスデン侯爵追討命を、ここに発するものとする」  玉座の左右にトリュッケン王、ド=ミュラー最高顧問を侍らせ、右列にド=マッセナ伯爵、ド=ジャンメール伯爵以下文官、左列にドラクロワ将軍、ド=ダグラス伯爵以下武官を従える。帝国を割っての戦いが今始まるのだった。
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