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「岡崎店長~!大丈夫ですか~!?」
バックヤードでゴミ袋を手にしたままで回想に浸ってたら、悲鳴のような由美ちゃんの声が聞こえた。
「・・・あ、はいはい」
俺が振り返ると情けない顔をした由美ちゃんがドアを半分開けて顔を突っ込んでいた。
「オーダー溜まってます~!倒れたいのは山々でしょうけど、30分堪えてください~!!」
「ごめん、すぐ行く」
急いでその場を離れる。
現実に戻ろう、俺。さっきから、確かに額の辺りが熱い気がする。由美ちゃんの言うように若干熱があるのかもしれないな。
とりあえずランチの時間を終わらせて、それからだ。
自分に気合を入れて、我が城に入る。
これが俺の仕事だ。そして大事な夢。アイツのお陰で叶えられた、大切な大切な日常だ。
守らなければ。アイツとの事は過去になっても、俺には現実としての店がある。残されている。
今現在自分の胸の大部分を占めたままになっている女の子の影を深呼吸で隠した。近々、薫ちゃんの事も必ずどうにかしてみせる。あの子の笑顔をカウンターに戻さないと店が店ではないってのは、スタッフ全員の意見だ。
そして髪を整えて、いつもの笑顔を作る。
さて、戦争の始まりだ。
番外編 終わり
読んで下さって、ありがとうございました。
明紫
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