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サトルもそろそろ寝ようと思い横になった時、少し離れた場所で肩を震わせながら泣いている田村の背中が目に入った。
それを見て再び目が覚めてしまったサトルは起き上り、缶ビールを片手に涙を流している田村に話しかけた。
「田村さん……寝れないんですか?俺で良かったら……話し相手になりますよ?」
サトルが掠れた声で話しかけると、田村は何回か深呼吸をしてから振り返る。
数時間前とは別人のように目の周りは腫れ、覇気の無い表情をしている。
「お前……寝なくて大丈夫なんか?明日、黒木に誘われとったんちゃうんか?」
「はい、誘われました。でも……なんか田村さんが辛そうだったんで」
「ハハ、お前みたいなガキに心配されるようになったら、俺も終わりやな」
田村はそう言って鼻を擦り、缶ビールをグッと飲み干した。
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