宝石を盗んだ男

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 駅に並んだコインロッカーを安西は眺めていた。空きを探している。別に何処でもいいのだが、いざ使うとなると選んでしまう。  使用料、五百円だ。なるべく良い場所を探している。目立たない場所がいい。鍵が付いている場所を品定めする。  新しくできたコインロッカーだ。怪しまれなければそれでいい。二日ほど占拠できれば十分だ。安西は、鍵を引き抜いて、扉を開けた。  コインロッカーの中はとても綺麗だ。誰も使っていないわけではない。新しいから傷がないだけだ。  ここがいい。安西は頷いた。  人も居ない。監視カメラも映るか映らないかの位置にある。丁度、死角だ。このコインロッカーなら問題ない。  安西は、胃を決してポケットに手を突っ込んだ。  ポケットの中身をゆっくりと引き出す。
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