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「まず、彼女はいますか?」
はにかんだ仕草で美輝が訊ねた。
「残念ながら彼女はいないよ」
翔太(勇)は即座に答える。
「ほ……本当ですか!!」
美輝の瞳が耀く。
「それじゃ、好きなタイプの女性は……?」
「そうだな。笑顔が素敵な女性かな?」
美輝はまた顔を赤くした。先程翔太(勇)に笑顔が素敵だと言われたばかりだからだ。
そんな美輝の仕草を見ていると、相当俺のことが好きになっていると感じた。
若返る前の俺といる時とはぜんぜん表情が違う。……そりゃ、そうだよな。半世紀前のイケメンの俺より、今現在の若いイケメンの方が良いに決まっているよな。
勇は苦笑いした。
来月(7月)になったら元に戻らなきゃならないから、それまで思いっきり美輝と愛し合いたい。
思い出作りなんて少女趣味の言葉だけど、限られた短い時間の中で、美輝と愛を育んでその思い出を大切に大切に心に刻んでいくんだ。
今頃女房の富美子は、あの世でヤキモキしてるかもしれないな。
だけど、今、俺は生きているんだ。
俺の残された人生もそう長くない。
せめて残りの人生を楽しく幸せに過ごさせてくれ!
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