不思議な本との巡り合い

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二人で朝食をとるのが日課。そこで由良の話を聞くのが好き。 「たまの日曜日なんだし、友達と遊びに行ったりはしないの?」 「別に行かないよ」 だけどこの手の話は少し苦手。 私には友達がいないし作ろうとも思わない。由良には心配かけたくないから言わないけど……。 別にいじめを受けているわけではないから、話さなければ分からないし。 「そうなの? 蛍はモテそうなのに……」 そう言って口を尖らせる由良の方がずっとモテそうだ。 「それより……私は今日は図書館に行こうと思うんだけど、由良は?」 「じゃあ、あたしも行くわ。新撰組の本借りたいし!」 由良は新撰組が大好き。 そういう私も由良の影響で好きになったんだけどね。 朝食を終えて素早く準備を済ませると、家を出る。 ふと目にとまるのは扉の横に書かれた「朝比奈」という文字。12年もたてば「天宮」という名字よりもしっくりくるようになる。 ふと、昔を思い出して苦笑いした。 私が天宮蛍と名乗ることはもう二度とないのだろう。
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