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串焼きを食べ終えたシルウィが、串を地面に放る。
「姉御、知り合い?」
近くにいた少年たちの一人がシルウィに問いかけた。少年たちはリューティス少し年下に見える。
「あぁ。それより、……商会長! 依頼受注者がもう一人来たぞ!」
「っほんとうか!」
シルウィが声を張り上げると、三十半ばの男が荷馬車から顔を覗かせた。どうやら、積み荷の確認をしていたらしい。
「あたしの知り合いだ。腕はいいぞ」
「よかった、これで安全に旅ができる」
安堵した様子の商会長は、笑みを浮かべてリューティスに手を差し出してきた。
「テフォル・ライラークだ。よろしく頼むよ」
「リュースです。よろしくお願い致します」
その手をしっかり握り返す。
「もうしばらくしたら出発するからね。詳しい話は他の冒険者から聞いて」
「はい。わかりました」
彼は積み荷の整理に忙しいのだろう。リューティスは首肯すると再びシルウィに目を向けた。
「護衛する荷馬車は全部で三台だ。あたしは前につくから、リュースは後ろを頼む」
「わかった」
「あと、馬には乗れるよな?」
「うん」
リューティスは中央の国の騎士である。馬に乗れなければ騎士ではない。彼女はリューティスが騎士であることを知らないが。
「ならリュースは乗馬な」
「わかった」
シルウィは近くの木に手綱をくくりつけてあった馬を、二頭連れてきた。
「どっちがいいか?」
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