六十八章 南へ向かって

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   串焼きを食べ終えたシルウィが、串を地面に放る。 「姉御、知り合い?」  近くにいた少年たちの一人がシルウィに問いかけた。少年たちはリューティス少し年下に見える。 「あぁ。それより、……商会長! 依頼受注者がもう一人来たぞ!」 「っほんとうか!」  シルウィが声を張り上げると、三十半ばの男が荷馬車から顔を覗かせた。どうやら、積み荷の確認をしていたらしい。 「あたしの知り合いだ。腕はいいぞ」 「よかった、これで安全に旅ができる」  安堵した様子の商会長は、笑みを浮かべてリューティスに手を差し出してきた。 「テフォル・ライラークだ。よろしく頼むよ」 「リュースです。よろしくお願い致します」  その手をしっかり握り返す。 「もうしばらくしたら出発するからね。詳しい話は他の冒険者から聞いて」 「はい。わかりました」  彼は積み荷の整理に忙しいのだろう。リューティスは首肯すると再びシルウィに目を向けた。 「護衛する荷馬車は全部で三台だ。あたしは前につくから、リュースは後ろを頼む」 「わかった」 「あと、馬には乗れるよな?」 「うん」  リューティスは中央の国の騎士である。馬に乗れなければ騎士ではない。彼女はリューティスが騎士であることを知らないが。 「ならリュースは乗馬な」 「わかった」  シルウィは近くの木に手綱をくくりつけてあった馬を、二頭連れてきた。 「どっちがいいか?」 .
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