遷都1700年に舞う花火

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Neo(ネオ)花火―― 今から50年前、西暦2360年に従来の火薬式に台頭する形で開発された、光学式打ち上げ花火。 脳波信号を噴出砲と呼ばれる噴射機に伝達することにより、人間が持ち得るイマジネーションを具現化し、光のイリュージョンを作り出す。 噴出砲は人体の脊髄部分に接続され、噴出砲内部のマイクロチップと本体である人間の脳神経とのシンクロ率が高ければ高いほど、その具現化の規模は大きくなり、壮大な演出へ繋がると言われている。 開発当初は多くのNeo花火師がこぞって名を上げようと各地で大会が繰り返されたが、Neo花火の特性上、シンクロ時の脳内事故が多発し、数十年の間、Neo花火の使用が禁止される事態となった。 それが10年前、西暦2400年の節目の年に、水面下で改良を重ねられた新型Neo花火の完成が発表され、厳しい適性試験に合格し、Neo花火師としての特性が認められたものだけが活動を許可されるという条件付きで、Neo花火大会の開催が再開されるようになる。 と同時に、突如出現した数名のカリスマNeo花火師の台頭が、沈静化したと思われたNeo花火ブームに一気に火を点けた。 そして時を進めること西暦2410年。 十年間の専門的修学を経て、晴れてNeo花火師の資格取得に成功した俺の初舞台が…… ここ、地元である古都奈良で まもなく開催されようとしている――――。
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