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「…寒いっ!!」
俺の隣を歩く、背がほとんど俺の頭ひとつ分高い男が急に空に向かって文句を言い出した。
「誰にクレームつけてんだよ、冬が寒いのは当たり前だろ。ここは四季のある国、日本だぜ。」
俺はぐるぐる巻きつけたマフラーからチラリと奴を見上げた。
「む…、」
鼻の先が赤くて。
でも、俺を恨めしそうに睨むその表情が、可愛くて。
「やば…、襲いたくなってきた。」
「あ~?」
"あ~"じゃねぇよ。
聞こえないふりして、ちゃんと聞いてるくせに。
頬まで赤くなってる。
俺は奴の手を掴むと、ギュッと握り締めた。
手袋が歯痒い。
前澤由樹那(ゆきな)…俺の義理の弟で、彼女。
しかし、未だにキス止まり、の仲だ。
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