第8章

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コンコン ドアを叩く音に、全員の視線が一ヶ所に集まった。 そしてその視線が集まった先には、和海さんが呆れ顔で立っていた。 「随分盛り上がっているようだが、はじめから説明してもらえるとありがたいな。」 「和海さん!」 応接間に入ってきた和海さんは松本さんの胸を拳で押す。 「お前らしくもない。」 「失礼いたしました。」 いつものようにニッコリ微笑みながら言う松本さんを、和海さんは目を細めて見ながら、ニヤッと笑った。 「またライバルが一人増えたか。」 「ライバル?」 松本さんはきょとんとして首を傾げる。 和海さんはそれ以上何も言わず、テーブルの上に腰かけてむすっと膨れている蘭之助に近付き、頭に拳骨を落とした。 ゴスンという鈍い音は、聞いてるこちらまで痛くなる。 蘭之助さんは声にならないうめき声を上げ、頭を押さえた。 「いってェ…………!!糞野郎、なにしやがる!!」 「お前の無礼のせいだ。ここは俺の屋敷だ。勝手なことするな。だいたい贔屓客相手にあんな態度とるなんて、お前もらしくないことしてるじゃないか。」 「うるせェ!気に食わねェもんは仕方ねェだろ!!ったく、いってェな畜生……頭の形が変わっちまう。カツラが被れなくなったらどうすんだ!」 「もう一発殴って凹ませてやる。」 「野蛮人!鬼畜!」 和海さんは爽やかに笑いながら、再び拳を握りこんだ。 それを見た蘭之助さんはテーブルから飛び下りると、僕に駆け寄りしなだれかかってきた。 「英サン、助けておくんなァ……。」
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