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年末は姉夫婦と予定が合わず、私だけ先に実家へ戻り、山下さんとの初詣デートに備えて前日に帰宅した。
「明けましておめでとう」
観葉植物のドラセナに、新年最初の給水をして葉を拭いてあげた。一時、葉がほとんど落ちて枯れてしまったのかと思ったのに、日当たりのいいこの部屋に置いてからは成長が著しく、葉がぴんとして綺麗になった。
年明けのカウントダウンを一緒にする異性がいなくとも寂しくはない。
夏に韓国から戻った時と、ほとんど変わっていないけれど、久々に恋だと思える気持ちが宿り、胸の奥がぽかぽかとしている。
24日にデートをしてからは特に連絡はなかった。初詣デートの予定を合わせるために2往復程度のメールを送り合っただけ。
でも、いい大人がダラダラとメールをするのもいかがなものか、と思うのだ。つき合っているわけでもないし、山下さんのように日頃多忙で接客をしていると、休みくらいのんびりしたいだろうと、あえて様子を聞くようなこともしなかった。
いい女でいたいと思ってしまうのが、私らしいとも思えた。
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