あまのじゃくな君と不器用な私

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春が目を覚ましたのは早朝だった。 眩しい光が春の顔を照らす。 体調はだいぶ回復しているみたいだ。 『それにしても、昨日の夢はヤバかったな。』 ソファから立ち上がろうとする。 手が温かいものに触れた。 (なに…これ) 見てみると清香がソファにもたれて寝ている。 『う、わぁぁ』 起き上がった瞬間おでこから生ぬるいタオルが落ちる。 (これ… あ、ずっと看病してくれてたのか) 『…待てよ。 じゃあ、何処から何処までが夢なんだ。』 春が呟くと 「全部現実よ。」 清香が起きた。 『あ清香… おはよう』 「んー、おはよう」 ぐいっと伸びをする。 『全部現実って… 抱きついてきたのも?』 「うん」 『キスしたのも?』 「うん」 『本当に?』 「うるさい、何度も言わせないでよ」 清香は顔を伏せた。 『ねぇ、清香…』 「なによ」 『それって、私の想いを受け止めてくれるってこと?』 「さぁね」 清香はツンと向こうを向く。 『ねぇ、清香… こっち向いて』 春の甘い声が聞こえる。 「イヤ」 清香は、頑として振り向かない。 『ねぇ、清香』 春はソファから下りて、清香の正面に座る。 「ちょっと、なに…」 『顔見せてよ』 「い、嫌」 春は清香に顔を近づける。 『…これで、よく見える』 「だからなによ」 『清香…顔真っ赤だよ』 「あっそ! …春に風邪をうつされたのかもね」 『…っはは』 「なに笑ってんの! 春のせいでしょ!」 『うん 私のせいだわ。 責任とる。』 「、、、別にそこまで言っ… 『たしか、風邪ってうつすと早くなおるんだよねぇ』 「え…」 驚く清香をよそに春は清香の口を自分に近づけた。 そして、清香の唇に長い長い口づけをした 。
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