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「柚歩ちゃーん!!」
「わっ!?」
笛の音が鳴り響き、休憩の声がかかると同時に柚歩に抱き着いてきた王子君。
次の瞬間、体育館中が悲鳴にも似た叫びが広がった。
「柚歩ちゃんが練習見にきてくれるとか、すっげぇ嬉しいんだけど!」
「なっ、中大路君、取り敢えず離してもらってもいい?」
これでもかってくらい柚歩を抱きしめる王子君に、やっぱり目を瞑りたくなってしまった。
「無理。キツイ練習してきたんだから。柚歩ちゃんパワーを注入させてもらわないと」
あぁ。そしてなんとも歯がゆくなる溺愛っぷり……。
「みっ美奈~」
王子君の身体の隙間から助けを求めるように言ってきたけど、ごめん柚歩。
私には無理な話だよ。
「こら王子!中野さんすっげ困ってるじゃん!」
「いって!」
そんな王子君の頭を思いっ切り叩き、王子君から柚歩を引き離してくれたのはえーた君だった。
「いつも言ってるだろ?お前のその自分勝手な行動が、どれだけ他人の迷惑を招いているかよく考えろって」
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