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「どんな体質だ、そりゃ」
奴の手を引き離し、恐らく、苦虫を噛み潰したような顔で尋ねた。
一安心というか、ホッとはしたが、人の体質なんざ、どんなものがあるのか分からない。
「人ってさ、緊張すると手が冷たくなるだろう?僕の身体では、それがずっと起こってる」
自らの両手を見つめながら奴が言う。俺と身長は大差無いが、手は奴の方が小さい気がした。
「毛細血管が収縮するからだろう?」
「よく知ってるね、その通り。なら、大丈夫だって分かっただろう?」
ニッと笑い、奴はぷらぷらと両手を振った。
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