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『あいつら、どうなるのか気になるじゃん』
早川と佐野が声を揃えてそんな台詞を吐いている事など知る筈もない真壁は走っていた。
聖に対する想いは神谷は疎か早川と、彼と常に一緒にいる佐野にまでバレていた。
そして、誰の目にも明らかだった。
真壁の想いが、均衡を保つ事が危ういほど大きくなっていることは。
それを見兼ねてか、それともただの好奇心からか。早川達にたきつけられた真壁はその思惑通り聖の家の前にいた。
「聖!」
聖のアパートは大学から歩いて15分の距離。
近いとはいえそれを全力疾走したとなれば、荒れた呼吸はなかなか落ち着かない。けれど、待ってなどいられなかった。
「聖、大丈夫!?」
うまく呼吸が出来ず、噎せながらドアを叩くが反応がない。
まだ帰っていないのか、それとも――
「ッ、聖、」
最悪の状態を思い浮かべ、未だに整わない息をひゅっと飲み込んだ。
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