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――車の窓から流れる夜景。
ほんの数時間しか経っていないのに、その闇の色はより一層濃く感じられた。
「忘年会終わったの?」
別に気を使っているつもりではないが、無言で運転する彼に話しかけ、無意識にいじっていた指に視線を落とす。
「忘年会?あぁ、どうだろう。俺、途中で抜けてきたから」
「抜けてきた?どうして?」
「明日、父親とゴルフで早起きするようだから。って理由つけて帰らせてもらった。実家に帰るから車で来たし。って言って」
「……あ、そう」
「飲んでないよ」
「当たり前でしょ」
ポンポン。とテンポのいい会話。
助手席に座る無表情の私に対し、運転する彼の表情は幾分柔らかい。
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