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給湯室の電気をつけた。
ポットのお湯を沸かし、急須に茶葉を入れる。
コーヒーは苦手だから、飲む時はいつも緑茶だ。
お茶をセットし終わって、少しだけ廊下に出たけど、やっぱり物音もしない。
「やっぱり、噂かな……」
誰もいない廊下に、独り言が虚しく響く。
いや、もしかして。
今日はバレンタインだから、恋人と過ごしてて、だから見回りしないとか?
だったら、こんな深夜のオフィスで、一人で待つの無意味だよ……。
「やっぱ、お茶飲んだら、帰ろ」
私は給湯室には戻らず、課の部屋に戻った。
お茶が沸く前に、帰れる用意をしてしまおうと思って。
私は、デスクに出していた資料を引き出しにしまっていった。
そして、パソコンを切ろうと、マウスに手をかけた、その時……。
静寂の中、フロアのドアが開く音が響いた。
「え……」
もう、全然期待していなかっただけに、心臓が止まるぐらい驚く私。
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