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「アイツは気に食わねぇが、和菓子に罪はねぇ」
そう言いながら塩豆大福に手を伸ばす宮園は、どこか嬉しそうだ。
「宮園様、あんまり食べ過ぎちゃダメですよ? ご飯食べられなくなっちゃいますから」
「うるせぇ、お前はオカンか」
「そうです。夕飯は宮園様の好きなお肉にしますから、お菓子は程々にしてください」
「解ったよ」
あの不良に言う事を聞かせるなんて、この子は顔は平凡でも只者じゃない。
きっとこの場に居た全員が思った事だろう。
「で、何か意見とか無いー? 何でもいいよー」
仕切り直した山本に、椎馬がサッと手を挙げる。
「はい、サクちゃん」
「寮の風呂が狭い」
「内装的な意見を言われても、オレにはどうしようもないんだけどなー。それに一人で入るからそんな狭くないでしょー?」
「狭いって! 大成と一緒に入れねーじゃん!」
この発言で大成は頬を赤らめ、光太郎は何かに思い当たったように顔が真っ赤になり、宮園は塩豆大福を喉に詰まらせて咳き込み、マキは更にキラキラと瞳を輝かせていた。
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