Jyo

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見たことがないジョウの目 懺悔の目、降参の目 ジョウは私の真っ正面に立った。 やっと私と向き合ってくれる気持ちになってくれた。 でも嘘のキスはいらないんだよ。 心の中で呟いた。 私はジョウの右肩におでこを乗せて声を出して泣いていた。 ジョウは黙って肩を貸してくれた。 ごめんね うん ってジョウが今までで一番優しい声で私を包み込んでくれた。 もう、十分だと思ってジョウからそっと離れた。 今日は駅まで送って行く。 とジョウが明るく言ってくれてビックリした。 さっきとは違い、機嫌がいい。 3ヶ月ぶりにいつものジョウに戻って 嬉しい。 悲しいのに嬉しい。 駅までの道のりで、 もう、日にちや時間を合わせて会うことはないから とジョウが言った。 ジョウが教えてくれたお店に私が行くのも嫌なの? 迷惑掛けたくないから嫌なら嫌って言って それはいいよ。行っていいよ。 とジョウは言う。 (共通点を持っていてもいいの?) 後ろ髪を少し掴まれたようで 嬉しくもあり、悲しくもあり、残酷でもある。 改札の前で電車の時間をジョウが確認してくれた。 12:44があるよ。 うん、ありがと。 じゃあね。 ジョウは去った。 振り返ったらジョウの姿は無くて… 急に寂しくなって こんな最後は嫌だと思った。 後悔はしたくなかった。 私はジョウを追いかけた。 階段の下にいるジョウを見つけて、 ねえ、 と声を掛けた。 ジョウが階段の上にいる私を見上げた。
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