第2話

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真田主任は呆れた声を出して元カレに詰め寄った。 「そんなアホらしい理由で、付き合ったり別れたりしてんの?くだらな過ぎ」 「はぁ!?」 「不誠実極まりない。  千鶴子、こんなヤツの話聞く価値もないよ。  行こう」 不機嫌に顔を歪めた元カレをスルーして、真田主任は私の腕を掴んで歩き出す。 でも、それを引き留めるように元カレが声を荒げた。 「待てよ!千鶴子は置いて行け。  お前こそ、さっきの女とどっかいけばいいだろう!」 ………そうだ。 さっきの女性はどうしたんだろう。 不安な気持ちで真田主任を斜め下から見上げた。 「さっきの女………?  あぁ、ちゃんと『俺には好きな人がいるから付き合えません』って振ってきましたよ。  アンタみたいに両天秤かけるような趣味は持ち合わせてないんで」 「千鶴子の前じゃそうカッコ付けてるけど、本当は陰でこそこそ会う約束でもしたんだろ!?」 「………アホらし。  俺をアンタと同じ低俗な人間扱いにしないでください。  俺は千鶴子が一人いれば十分なんで。  そもそも、さっきの女性だって全然興味ないんです。  俺は千鶴子じゃないとダメだから。  こっちがダメだからあっちとか、アンタ、思考がまんま子供っすね」 「はぁ!?お前、いい加減にしろよっ!?」 冷静な真田主任の表情とは対照的に、元カレの顔が怒りで真っ赤になる。 一色触発状態に私は焦った。 「────あ、あなたとはやり直しませんっ!!!」 真田主任に腕を掴まれたまま元カレの方を向き、そう言い放った。 グッと元カレの表情が歪んだけど、もう可哀想とも思えなかった。 「私を振ってくれてありがとう!」 思いきり笑顔でそう伝えると、今度は私が真田主任の腕を掴んで歩き始めた。 何か言いたげに元カレがたじろいだけど……… もう、私は後ろを振り返ることなんかしない。
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