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逃げ場がないクラーレは苦しそうな表情をした後、レイナを見上げニヤリと笑った。手を伸ばし胸を踏みつけているレイナの足を力強く掴む。
「ぅっああ゛っつ、ぐ、ぁ…は…っ、アンタ…」
「ふふっ、私、接近戦の方が向いてるの」
握られた手からは毒々しい液体が飛び散り、掴まれた足首はシュウゥと蒸発し始め、肌が爛れて溶け始めた。激痛がレイナを襲い、唸り声を上げた。
痛みを堪えクラーレからサッと距離を取ると、クラーレはどこから取り出したのか短剣を手にしてペロリと刃を舐めていた。
「は…っぁ、趣味悪いわね」
酸だけではなく毒も含まれている液が体に回ってしまえば、レイナに勝ち目はない。虚勢を張ってはいるがさっきから体がピリピリとし始めて、動きが鈍くなっている。
「……もう、これで終わらせるわ」
「へぇ、もう立ってるのも辛いんじゃなぁい?」
カタンと落ちる双剣。もう重みのある剣を持つことはできない。痺れる腕を上げて集中し魔力を集める。
「メルト・グランド……」
クラーレの足元がぐにゃりと歪み、柔らかい泥に変形していき徐々に足が吸い込まれていく。動こうともがけばもがく程、泥濘みにはまっていく。
「ちょ、なによこれ…っく、」
「ファイア……ストームっ」
ツルを出して泥から抜け出そうとするも、猛火の嵐によってツルは焼け焦げてしまい、再び底なし沼の中へ。
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