婪尾

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書斎に戻った父親。するとすぐにドアが開き、一人の男性が入ってくる。 「休日でもないのに、こんな昼間に訪ねてくるのは珍しいな。」 会話からわかるように、男性は父親の友人であり、ある種仕事仲間でもある。 「あぁ、もう仕事が終わったんでな。」 その言葉に父親は眉を顰(ひそ)める。 「どういう意味だ?勇者の武器の管理の仕事が終わるとは。」 「そのままの意味だ。勇者が武器を全部持って行ったんだよ。だから仕事なし。」 男性の発言に、再び眉を顰める。 「魔物を滅ぼし、魔族を従え、これ以上何に武器を使うというのだ?周辺の国も全て屈服させているというのに。」 「そりゃあれだよ。お前が散々反対していた…」 「まさか!天使に、神に仇(あだ)なすつもりか!」 男性の言葉の途中で、遮るように声を荒げる父親。 「そういうことだろうな。」 「馬鹿な!そんなことをすればこの世界は!」 「あぁ。おそらく終わるだろうな。」 男性の言葉に、頭を抱える父親。
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