プロローグ

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   密談とは、暗闇の密室で行われるべきである。  そのような、格言があるかは別にして。その場にいる三人の男女は、それに忠実に密談を行っていた。  互いの顔が、認識困難な程の暗さ。  閉め切った分厚いカーテンの隙間から、陽光が微かに漏れている。それにより、どうやら昼間である事が確認できる。  三人の男女は、盗聴を気にしている訳では無かろうが、声をひそめて話をしている。その口調や声色からして、三人の男女が若く同年代である事が伺えた。  だからと言って、未成年ほど若くは無いようだ。  部屋を暗くして声を潜めるのは、その中の一人の男性の提案で。気分を高める考えから、そのようにしているようだ。先の格言らしきものは、その男性のオリジナルだろうか。  だが、あくまでも密談は密談。  その話しの内容は、やはり他人には知られたくない類いのものなのであろう。ひとまず、その男性が話しを終える。
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