茜と風香

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『順調ですね。』 健康診断を終えた俺は、医者の言葉にムッとしていた。 『よ!どうだった?健康診断。』 背中を叩いたのは先輩の今村さんだった。 『どうもこうもないですよ。毎年体重増加してるから(順調ですね)ですって!失礼なもんですよ。今村さん、口から出てますよ。』 今村さんの口から、白い糸状のヨダレが垂れていた。 『慣れないんだよな!バリウム。』 俺はまだ20代の為バリウム検査はない。バリウムは苦手な人が多く、三十歳からのバリウム検査は俺も回避願いたいものだった。 そんなバリウム検査に勇敢に立ち向かい、ゲップを堪えるという過酷な挑戦に今村さんが破れたのは言うまでもなかった。 『今年は何杯ですか?』 『三杯。あの医者ヤブだな。』 そう言って今村さんは口を拭った。
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