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強く押し当てられた、修一の唇。一度目のキスの余韻を残す暇なく、角度を変えてもう一回。二度目のキスも、優しいキスとは程遠い
「……んんっ!ふ、ぅ……」
なんだこれ
なんだこれ
なんだこれ
頭の中でその単語だけがグルグルと回る。背中が冷たい。身動きが取れない。訳が、わからない
とにかく状況を整理したくて、落ち着いて話がしたくて、キスから逃れる様に必死に顔を背けた。首から下は全く自由が効かなくて、拘束する力の強さにじわじわと焦りと恐怖が込み上げてくる
唇が離れたかと思えば、修一は俺の髪の毛に顔を埋めて忌々しそうに舌打ちをした
「なあ、風呂入った?」
耳元で低く、低く囁く声に全身が震えた。ゾクッと震える様な感覚に足が自然と後ろに下がる。靴がドアに当たった音が玄関に響いた。でも今は間近で響いたその音すらも遠く聞こえる
「シャンプーの匂い家のと違う。それに昨日と着てる服が違うのは何で?」
「ひっ……ちょっと、待ってっ……!」
耳元で喋んな
ただでさえ状況整理が追い付いてないのに、追い打ちをかけないでくれ
狼狽える俺の事なんてお構いなしに、修一は俺の心を追い立てる。修一の声はとても落ち着いてて、それがますます俺の恐怖を煽る。嫌な汗が、止まらない
「あいつの所に行ってたんだろ。風呂入らないといけない事でもした?」
「な……んだ、それ。どういう意味だっ」
「ねえ、さとは本当に誰でもいいの?それともあいつだったから?」
「何言っ……んんっ……!」
反論しようとした唇を、また無理矢理塞がれた。全身で拘束から逃れようと抵抗したら、更に強い力で押さえ付けられた
「痛っ……、ぅ……ん、んっ……」
唇を無理矢理こじ開けられそうになった。それを必死に堪えていたら、修一は思い通りにならない事に苛立ったのか、俺の唇を強く噛んできた
ガリッと音を立てて噛まれ、痛みに一瞬顔が歪む。傷口に滲んだ血を修一は丹念に舐め取ると、少しだけ開いた唇の隙間から舌を潜り込ませてきた
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