【11】

4/15
1893人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
強く押し当てられた、修一の唇。一度目のキスの余韻を残す暇なく、角度を変えてもう一回。二度目のキスも、優しいキスとは程遠い 「……んんっ!ふ、ぅ……」 なんだこれ なんだこれ なんだこれ 頭の中でその単語だけがグルグルと回る。背中が冷たい。身動きが取れない。訳が、わからない とにかく状況を整理したくて、落ち着いて話がしたくて、キスから逃れる様に必死に顔を背けた。首から下は全く自由が効かなくて、拘束する力の強さにじわじわと焦りと恐怖が込み上げてくる 唇が離れたかと思えば、修一は俺の髪の毛に顔を埋めて忌々しそうに舌打ちをした 「なあ、風呂入った?」 耳元で低く、低く囁く声に全身が震えた。ゾクッと震える様な感覚に足が自然と後ろに下がる。靴がドアに当たった音が玄関に響いた。でも今は間近で響いたその音すらも遠く聞こえる 「シャンプーの匂い家のと違う。それに昨日と着てる服が違うのは何で?」 「ひっ……ちょっと、待ってっ……!」 耳元で喋んな ただでさえ状況整理が追い付いてないのに、追い打ちをかけないでくれ 狼狽える俺の事なんてお構いなしに、修一は俺の心を追い立てる。修一の声はとても落ち着いてて、それがますます俺の恐怖を煽る。嫌な汗が、止まらない 「あいつの所に行ってたんだろ。風呂入らないといけない事でもした?」 「な……んだ、それ。どういう意味だっ」 「ねえ、さとは本当に誰でもいいの?それともあいつだったから?」 「何言っ……んんっ……!」 反論しようとした唇を、また無理矢理塞がれた。全身で拘束から逃れようと抵抗したら、更に強い力で押さえ付けられた 「痛っ……、ぅ……ん、んっ……」 唇を無理矢理こじ開けられそうになった。それを必死に堪えていたら、修一は思い通りにならない事に苛立ったのか、俺の唇を強く噛んできた ガリッと音を立てて噛まれ、痛みに一瞬顔が歪む。傷口に滲んだ血を修一は丹念に舐め取ると、少しだけ開いた唇の隙間から舌を潜り込ませてきた
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!