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「ふぅん……」
グレンの手からリュウを引き剥がしていると、ヴィンスが何やら意味ありげな吐息を漏らす。
「ど、どうかした?」
マズい。グレンと違って鋭いヴィンスを騙すには足りなかったのかも。
どんな追及が来ても対応出来るよう、言い訳に頭を巡らす。
「……いや、理事長が決めた事なら問題はないだろうね」
この一言に、今度は僕が安堵の溜め息を漏らす。親友2人に信じさせられたのなら、ひとまず大丈夫だろう。
「ただ、こんな見た目でも知能は高そうだし、姿を消す能力まで持っているんだ。安心は出来ないね。僕たち2人も、協力させてもらうよ」
……溜め息が引っ込んだよ。
「おっ、それいいな!一緒に頑張ろうぜ、ロラン!」
善意で言ってくれているのはわかってる。でも、目の前の親友の無邪気な笑顔を殴りたくなったのは久しぶりだ。
『おいおい、面倒な事になったな。ま、これ以上俺の事を明かすつもりは無いし、必要も無い。このまま頼むぞ』
面倒の元凶が何を言うか。
「ハァ……」
さっき戻ってきた溜め息を再び吐き出し、やたらと重く感じる肩を落とす。ああ、肩にはリュウが乗ってるんだった。
「そうと決まれば、さっさとメシにしようぜ。今日はリュウの歓迎パーティーだ!」
……ハァ……。
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