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『こちらヴィンセント。視点確保、異常なし。各所見張り、応答せよ。オーバー』
『こちらグレン。東側異常なし。オーバー』
「こ、こちらロラン。西側、恐らく異常ありません。オーバー」
『セラヴィー!報告は正確にせんか!』
そんな事言われても、感覚を強化したからって人の足音を聞き分けるのは無茶ですよ、ミラー理事長。
リュウが僕の部屋に来てから2日後。
僕たち4人と1匹は、授業をサボって3年校舎屋上の一角に来ていた。
『ここは残り少ないアトリエの一つなのだぞ!気合いを入れろ、セラヴィー!』
ミラー理事長がアトリエと呼ぶこの場所は、3年生の女子更衣室を望める覗きスポットらしい。
ホント、何を考えてるんだか。喋り方まで変わってるし。
『しっかし、あのバカも随分と好き勝手やってるなぁ』
リュウが僕の手にある『トランシーバー』とかいうミラー理事長の作った機械を眺めて呟く。
「全くだよ。付き合わされる僕たちなんかお構い無しなんだから」
『あー……、うん、そうだな』
まあ、進んで参加する馬鹿な親友もいるんだけど……。
するとそこに、強化された聴覚によって首謀者2人の会話が聞こえてきた。
「ミラー先生!映写機の設置、完了しました!」
「流石、仕事が早いな、同志ヴィンセント」
「いえ!これも我らの芸術の為ですから!」
…………もう多くは語るまい。
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