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歩むべき道
ゆっくりと瞼を開けた。
薄暗い部屋にいるみたい。
目の前には泣き出しそうなシュウがいた。
ハッとして起き上がると身体中痛い。
全身筋肉痛みたいな鈍い痛みが走る。
シュウが私に抱きつく。
「良かった!良かった!キョウカが生きてる!!」
私、確かベリアルに…。
周りを見回すとカインがいない。
「カインは?ベリアルは?」
シュウは無言で首を振る。
「私行かなきゃ!」
立ち上がったつもりが、膝が立たない。
力を全てあの時に使ってしまったせいか、立ち上がる事も出来ない。
シュウが私をぎゅっと抱きしめる。
「行かせないよ!キョウカを夜まで外には出せないんだ。日が落ちるまでここに僕といて!!」
シュウの言ってる意味が良くわからない。
夜まで?
日が落ちるまで?
シュウの腕を掴んで顔を覗き込む。
「私…日に当たると…死ぬの?…ヴァンパイアに…」
「違うよ!まだそうと決まった訳じゃないけど、もしそうなら外には出せないから…だから、お願いだからここにいて!!」
シュウの腕を掴む手を離す。
そっか…カインの血が身体から抜けて、人間の、リュウの血を身体に入れてしまったから…私、ヴァンパイアになったんだ…。
精一杯の力で自分で自分を抱きしめた。
シュウが哀れんだ目で私を見つめる。
「キョウカ…まだヴァンパイアと決まった訳じゃないから。それに今ベリアルを捕まえに天使が来てるから、きっと大丈夫だよ。」
頬に涙が零れ落ちた。
私、とうとう本物の悪魔になったんだ。
人間の血を吸って生きていくしか道がないんだ…。
あのままカインに血をわけてもらってる方が良かった。
その方が人間を傷つけずに生きていけるって甘い考えしてた。
私って全てにおいて考えが甘いんだな。
もういいや。
結局人間を傷つけて生きるなら灰になって消えたい!
突然部屋の中に聞き覚えのある低い声が響いた。
「おい、ふざけるな!貴様の命は俺様の物だ。勝手に捨てる事は許さんと言った筈だ!!」
部屋の中を見回してもカインの姿はない…。
暫くするとガタガタと部屋の中に沢山の者たちが現れた。
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