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4月。
常春の国、ベジタブール王国においても、最も気候が穏やかで安定して、国中にピンクの桜が咲き乱れるはじまりの季節。
季節は誰であっても、毎年平等に訪れて……。
それは私、フィアにとっても同じこと。
桜並木の長い通学路。王立ベジタブール魔法学園に通う私たちは、毎日のようにこの道を歩く。
けれど、今日の気分はトクベツだ。
初等科を卒業して、今日から中等科一年生……校舎も移って、途中編入の新しい生徒も入ってくる。
私の学校生活は、今年で四年目に入るけど……ある意味で、再出発になるんだ。
一体どんな子と出逢えるのかな。
その子とは仲良くなれるかな。
期待に胸を膨らませるばかりで、楽しみがどんどん大きくなって、破裂しちゃいそうだよ。
「フィアっ、おはよー」
よく聞き慣れた声が、私の隣から聞こえてくる。
その方を向くと、栗色の長い髪を首の後ろで二つ結びにした女の子……初等科入学前からのお友達、カレンが並行して歩いていた。
「おはよ、カレン」
ニコッと笑顔でご挨拶。
すると、カレンも笑ってくれるんだ。
笑顔で誰かを笑顔に出来るのなら……それはとっても素敵なことだよねっ。
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