Act.15

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「その女上司は本当に仕事に一生懸命で、妥協なんて絶対しなくて。 シーズンが終われば店頭から姿を消してしまうようなスイーツであっても、ひとつも手抜きなんてしなくて。 そして何よりも……」 ふわりと瀬那川の大きな手が、私の頬を優しく包み込む。 真っ直ぐに見つめられた瞳、通り過ぎて行く幹線道路の車のライトがぼんやりと端麗なその表情を映し出した時。 ドクドクと激しくなる自分の鼓動ごと吸い込まれそうになった。 「…な…何よりも…?」 必死に動揺を押し隠し問いかけた言葉に、彼の瞳が細められ落とされたのは。
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