02 控えめなうえにきょとんとしまくりな浅黄君

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 何を隠そう、私はこのリズムゲームMUSUTA―ミュースタ―の新バージョンが世に出回るのを楽しみに今日まで生きてきたのだ。  ちなみにMUSUTAはファンの間では極限まで略したミュスタという愛称で呼ばれている。  私はこの日のために貯めに貯めこんだ百円玉を財布から一枚取り出してコイン口に入れ、専用ICカードをタッチした。  瞬間、控えめだった音楽が爆音へと変わり、画面にはポップなキャラクターが現れプレイモードを尋ねてくる。  私はもちろんハードを選択し、画面は音譜一覧へと移り変わった。  一番上からずらりと新譜が並び、その中にお気に入りの作曲家の名前を見つけて即カーソルをそれに合わせ、OKボタンを叩いた。 「くはぁーこのメロディたまんないね。ラック節全開!」
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