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「幸助?そんなとこで何してるの?」
「んー?ゆき。こっち来てみ?」
おいで、おいで。と手招きして、呼ばれる。
彼の名前は藤宮 幸助。私の友達。
「もぉ、ゆきじゃないよ!私は海雪だって!」
「んな、怒んなって、ほら!」
佐藤 海雪。それが私の名前。なんでか、幸助にはゆき。と呼ばれる。
嫌がってるけど、本当は嬉しかったりもする。
「綺麗…。」
そこにあったのは小さな綺麗な花だった。
朝降った雨のせいか、キラキラと光っていた。
「だろ!さっきさ、なんか光ってんなーと思って見に来たんだよ。そしたらこれだったってわけ。」
「綺麗だね。」
クスッ。と思わず笑ってしまった。
「なんだよ?、なんで笑うんだよ」
「え、?ご、ごめ…だって、可愛くて…」
あ、言っちゃった。だって男子なのにこんなことするのかな?普通気になって見に来ても花だったらスルーするでしょ。
「………。別に可愛くねーし…。」
ムスっとそっぽを向いてしまった。
だから、そういうとこが可愛いんだけどな。
「ごめん、ごめん。幸助はかっこいいよ?」
「んな!?な、何突然!」
こうやってすぐ焦るとこも可愛いのうちに入ると思うんだけどなぁ。
「幸助のそーいうとこ、好きだよ。」
「ゆ、ゆきっ!そーいうこと、すぐ言わないで!」
「だって、ホントなんだもーん。」
ホントのことだもの。仕方ないじゃん?
「幸助は私のこと嫌いなの…?」
「はぁ!?い、いや…」
もちろん、友達として好き。優しくて、かっこいい自慢の友達。
「ずーっと!友達でいてね?」
「そ、そっちかよ。焦って損したわー」
「なんの話??」
「なんでもねーよ。」
昔の私は幸助のことほんとに好きだった。友達として。まだ恋愛なんて知らなかった幼い私。
あの時、もし私が恋を知ってたらなにか変わったのかな。
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