チキン

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檻――。 もともとのサイズは、かなり広い。一人なら生活に支障なんてないかも知れない。 だけど本当は、何百羽もそこにすし詰めになっているのだ。そして、体の向きも変えられないような極狭のスペースで、わたしはずっと立ち尽くしている。と、わたしの近くの雌が卵を産んだ。本能の示すままに、日常茶飯事、とにかく、このような養鶏場ではどこにでもある光景だ。 檻の中は、わずかに斜面になっており、卵が転がっていって、一ヶ所に集められる仕組みになっている。 その卵も転がっていった。鉄の檻を抜け、すぐに親の手の届かないところに行ってしまう。その雌は無言で背を向けると、山と積まれた餌にくちばしを突っ込んで食べ始めた。
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