第3章 江山藍都 2

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「十………九………」 八、と言おうとしたところで異変に気がついた。 倉梨の表情から強張りが消えた。 諦めにも似ている落ち着いた表情をして、優しい目で僕を見た。 その瞳には、どこか寂しさが混ざっているようだった。 「………このゲームで、二人ともペナルティを受けない方法をご存知ですか?」 彼女の口から発せられた言葉は、僕の予想から大きく外れていた。 「………」 カウントを数えるのを止める。 そして考える。 この女の言葉について。 彼女は優しい目のまま僕を見つめている。 どちらもペナルティを受けない方法? そんなものは、この女に言われなくてもわかる。 どちらもペナルティルールの条件を満たさなければいい。 すなわち。 『同じタイミングで全ての情報を聞き出す』 これがお互いがペナルティを受けなくていい方法になる。
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