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首を横に二十度ほど傾けた吉備は、「さあ、どうだろう」と適当に聞き流す。しかし続け様、出木は唾を吐きながら吉備へ言い捨てる。
「なんで殺した!? あの人はテメェの親でもあったはずだ。冷徹で容赦なかったが、筋だけは通す人だった。"俺たちとは無関係だった"あの人を、なぜお前は殺しちまった!!」
天を仰いだ吉備は、首元で遊んでいたフードを被り直し言った。
「ゴミを捨てるのに、いちいち理由がいるか? お前も覚えちゃいないだろう、これまでに捨ててきたゴミの形など……」
「……ゴミ、だと?」
「ゴミをゴミと言ってなにが悪い。いちいち言わせるな、煩わしい」
地面に刺さった刀の柄を逆手に握った出木は、呼吸荒く「ふざけるな!」と叫んだ。いい加減にしてくれとため息をつく吉備は、これまでの穏やかだった目を細め出木へ近づいた。
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