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「美羽ちゃぁぁん」
一週間ぶりにペットショップ店のバイトに入る。
事務所に入ったとたん、まどかが私に抱きついて来た。
「美羽ちゃん、おかえり~。会いたかったぁ」
「ゴメンね、急にバイト休みにしちゃって」
「ううん!お父さん亡くなったんだもん、仕方ないよ」
「ありがとう」
私は微笑んで、まどかの背中を1回だけポンッと叩く。
こうやって会いたかったって言ってくれて。
子犬のように飛んで来てくれることが、素直に嬉しかった。
まどかは上目遣いで私を見上げると、眉を下げながら聞いてきた。
「…もう、心の整理はついた?」
まどかはまどかで、私のことを心配してくれていたんだな…。
「うん…。もう大丈夫」
「よかった」
私が言うと、まどかは満面の笑みを見せた。
そして私から離れたかと思うと、耳元でこそっと呟く。
「初見さんからも、会いたかったって言われた?」
まどかはニヤニヤと私を見る。
…本当にこの子は…。
私は呆れた顔をした。
「言われてないー」
そう言って仕事に入る準備を始める。
「えー?言われてないの~?」
「何で言われてないの?」と言わんばかりに、まどかは驚いた表情をする。
…私に聞かないでよ。それは初見さんの都合でしょうが…。
会いたかったって…思われてたら、嬉しいけどさ…。
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