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「あーあ、ずっとこうしてたいなぁ」
「……仕事中、だよ?」
「んー、そうだけどさー」
言いながら、頭に乗せた顎をよけるとこつんとおでこ同士をぶつけた。
とうとう耳まで赤くなってる私に掛るふっと微笑む息遣いに、私の心臓はコレ以上ないくらい早く打ちつけて。
腰に回っていた片腕が持ち上がり、さらりと髪を撫でると、あまりのドキドキに頭は真っ白。
そして、長い指が頬を撫でる。
「ほら、顔上げて?」
頬を滑る指が顎にかかり、くいっ、顔を持ち上げられた。
「っ、」
「キス、出来ないでしょ?」
「――……、……」
刹那、吐息ごと奪われるようなキスはほんの少し長く。
「今日……俺んち来てくれる?」
ほんの少し離した唇が誘惑する。
「もう待てない。全部俺のものにしたい」
甘い言葉に抗えず、とうとう頷けばもう一度啄ばむようにされたキスに少し笑う。
「なぁに笑ってるの?まったく、俺はいつお前が他の奴に取られるんじゃないかって気が気じゃないのに」
「それはそっくり私のセリフだよ」
「はぁー、俺は絶対あり得ないから。っつーか、お前こそ男どもに人気あるんだから気をつけろよ?」
覗き込む瞳には心配の色が混ざってて。
なんだか嬉しくて、おでこを彼の胸へくっつけた。
「ほら、戻る前にもう一回」
再び頬を撫でおろす指に今度は自分で顔をあげて。
唇を滑る指は顎をとらえた。
~fin~
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