雨の日の公園

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夏の面影が残る9月。9月とはいえまだまだ残暑が厳しい時期だ。そんな中、俺たちの2学期が幕を開ける。2学期は体育祭や文化祭など、イベントが多い学期だな。……そーいや俺、リレーに出るんだっけ。この前まで沖縄旅行に行った他のクラスの友達らが、全員ライバルになるのか……。 「あっづぁー……出流、暑いから雨を降らせてくれ」 昼休み、教室にて泰史が出流に言った。 「あのな……俺に天候を操る能力は無い。暑いのはみんな同じだ。お前も少しは慣れろ」 「慣れるわけねーだろ。なぁ七海、この天気どうにかしろよぉ」 「私に言われても……無理なものは無理だもん」 泰史がみんなに無茶ぶりしていやがる。あーだこーだやっていると、やがて俺と目があった。 「光刃~、雨降らし~」 「ちょっと待て、それだとまるで俺がアメフラシみてーじゃねーか」 アメフラシとは、貝の一種で、殻が退化して体内にある。ちょっと大きいナメクジみたいなやつだ。触ると気持ちいいけど、毒を出すから気を付けろ。 ……話を戻そう。この場合、軽く流すという選択肢が一番最良だが、この無茶ぶりが他の人に移るだけで、何の解決策にもならない。なので俺がこの流れを止めるために人肌脱ごうと思う。 「雨~、降れ~。はい終わり」 「テキトー過ぎんだろっ」 俺流雨降りの儀式終了。これで誰も巻き込むことなく泰史の無茶ぶりを……。 「ひゃー、雨だよぉ」 外からサヤが慌てて教室に帰ってきた。阿須香さんたちと外で遊んでいたら、いきなり空が曇り、たちまち雨が降ってきたらしい……。えっ、俺のせい!?
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