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俺の手を掴んだ主を恨みがましく見上げてみれば、石の呪縛から解き放たれた会長がむぅと拗ねたような表情をしていた。
「……お前、そのまま食うのか?それ……」
「おう!なんだ、俺のオムライス……唯斗も食いたいのか……!?」
眉間に皺を寄せたままの会長が俺のオムライスに目を向ける。おい、これ以上は誰にもやらんぞ。
まさか会長が狙っているのでは、と危惧した俺はガバッとオムライスに覆い被さるように隠す。
「ばか、要らねぇよ!……じゃなくて!
だから……っそのスプーンそのまま使ったらお前、間宮と間接キスになんだろーが!」
「……あ、はい……そうですね……?」
「そうですね、ってお前……はぁー……」
それが何か?と会長に目を向ければ、彼は眉間を押さえるようにして頭を抱えた。
なんだその呆れたような溜め息は。
「ちったぁ気にしろよ……」と呟く会長に、男同士で間接キスもクソもなくないか?と思いはしたものの、また己の愚かな考えに心の中で自らの頬を打った。
同性だからという理由で軽んじるのは止めよう、と先日自分で決めた事すら守れないのか、俺は。
考えてみろ。
例えばこれが異性間での出来事だとしたら、どうだろうか。
いや待てよ?普通に男女で回し飲みしたりとかもするよな……?
ただ単に、俺がそういう対象として見てないってだけか。
しかしまぁ俺がそうだとしても相手もそうだとは限らないし、周りの見る目だって勿論違う。
俺は気にしなくても、周りの認識はそうじゃないのだ。
男同士と言えども、この学園での関節キスは所謂アレか。
周りからすればイチャついてるようにしか見えないとか、そういう風に受け止められる訳か……!
駅でカップルが、イチャイチャちゅっちゅしてるのを見せつけられてるようなものなのか……!
お、俺はなんてデリカシーのない事をしようとしていたのだ……!
そう考えると、副会長が俺と距離を置きたくなる気持ちもわかる気がする。
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