トンボの地味子

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トンボの地味子。 クラスのみんなが私をそう呼んでいるのは知っている。 真っ黒な髪は後ろに一つのゴムで括っただけで、全く可愛さのない赤色眼鏡を付けた私。 トンボのアダ名は昔からある童謡の 《とんぼのめがねはあかいろめがね》 の歌から取っただけというのも、もちろん把握済み。 そう呼ばれるのは仕方ないって思ってた。 だって本当に地味なんだもん。 まだ17歳だっていうのに、明るさなんて私には一切無い。 だから友達もいなくて、いつも一緒にいてくれるのは教科書とペンと恋愛小説。 私がこんなものを持ち歩いているのは、親から躾を通り越している 「勉強しなさい」 の命令が毎日下されるからだ。
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