第7話

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「えっと……」 と言ったまま、神崎くんに尋ねられた彼女は口を閉ざす。 傷の場所によるのかもしれないが、『どうしてそんなこと知ってるの?』という疑問があるんだろう。 そんな微妙な雰囲気に、振り向かずとも、後ろにいる彼らの様子なんて手に取るように分かった。 「雛森ね、子供の頃、うちで飼ってた犬に噛まれたことがあったんだ」 行儀のいい、よそ行き笑顔の神崎くん。 「あ。……へー。そうなんだー」 微かに感じる威圧感に押され、笑顔が引き攣る彼女。 それを静かに見守る外野。 「あの時は大変だったよね、雛森」 我関せず。を貫いていた私に、神崎くんが話を振る。 白々しいのが見え見えだが 「そうね」 とりあえずそう答えておいたのは、このくだらない話をさっさと終わらせたかったから。 「大変だったわね」 彼が言っている傷は、後で確認するとしよう――
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