君へ、僕より

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『久しぶり。君に手紙を送るのは初めてだね。これからは時々書いてみるよ。色んな報告も兼ねてさ。  こちらでは、いつのまにか葉桜の季節となってしまいました。そっちでは、季節ってあるのかな?  一年中過ごしやすい気候なら、ちょっと羨ましい。  でも、四季がなくなったらなくなったで淋しいって思うのは僕だけじゃないと思うんだけど、やっぱり我が儘かな?  随分と、遠くまで来た気がする。  そう感じるほどに、君のいた日々が、だんだんと思い出せなくなってきてるんだ。  君と僕と、今よりも小さな小さな八重と。  時々思い出す光景はどこを見ても楽しくて、綺麗でさ。  『良い』夢のような時間の筈なのに――。  目を開けると、広がっているのはやっぱり君のいない世界なんだ。  最初は、なんて悪夢なんだって逃げ出したくもなったけど、なんとか踏み留まれた。  正直、今の僕があるのは全部八重のおかげだ。  少し寂しい気持ちもあるけど、大丈夫。  今は、新しい幸せを見つけられるようになったよ。  そんな幸せのうちの1つを教えてあげる。今日は、八重の誕生日だったんだけど――』
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