雅文の独白

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俺と雪菜は、今は一緒に暮らしている。 雪菜はうちの契約は更新せず、別の会社に移った。 今までの更新の機会に、人間関係の苦労をしながらここを続けてきたのは俺のせいだった。 やはり雪菜は、俺への思慕を募らせていた。 上司が殊更に褒めちぎって、俺の男を勝手にあげていたようで。 瑞希への気持ちがなくなったわけではないが、今は瑞希に対して申し訳ないという思いの方が強い。 その贖罪もあって、雪菜には、瑞希にできなかった本当の俺を見せることと、愛情をちゃんと示すようにしている。 もう少し落ち着いたら、瑞希の様子をこっそり見に行こうかとも考えている。未練とかじゃない。 最愛の女を幸せにすることができなかった。それを忘れてはいない。 忘れないことが、愚かな男が、一人の女の人生を翻弄させたことへの償いなんだ。 完
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