プロローグ

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0-2「ギリギリ何とかなるよ!」  今さら、子供だなんて。  ……でも。私は、コイツから将志を取り上げた。  もちろんコイツが働かなくなったせいではあるが、子育てをコイツに任せて自分が働けばよかったんじゃないか、と今なら思う。  そうしていれば将志も、男親に憧れるあまり、結婚相手に男を選ぶことはなかったかもしれない。  コイツから子供を。  将志から男親を取り上げたのは私の責任だ。 「賭けようか」 「なに?」  未練たらしく安心安全を取りつけようとする手を、止めさせた。 「年も年だし、孕むわけはないと思うが」 「ゆ、佑子?」 「お前の気持ちはわかった。今夜だけ、付き合ってやる。もし万が一、孕んだ場合のみ、産んでやるよ」  人生にリセットはきかないけれど。  もう一度、コイツに子供を見せてやりたくなる。  子育て、したかったよな?  かわいい時代の将志に、会いたかったよな。  できなくしたのは、私のせいだから。
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