序章:陽炎に揺ぐ影

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序章:陽炎に揺ぐ影

 瞳に映るは現実か、それとも幻か。  陽炎のように朧げな人影を辿った先に、懐かしい後ろ姿を見付けた。  ゆったりとした足取りで歩く人物の影を踏みながら、その後を追いかけた。  しかし、どれだけ手を伸ばしても影の主に指先が触れる事はない。  一定の距離どころか、徐々に遠のいていく後ろ姿につい名前を呼んでしまう。  不意にピタリ、と先行く人物の足が止まる。  ――そして
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